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養成講座の案内を見ると「ヨガ哲学」という言葉が出てきて、何を学ぶのか想像しにくい。宗教の話なのかな、と少し身構えてしまう方もいますよね。
結論から言うと、インストラクターが学ぶヨガ哲学は、ヨガの考え方の土台を知り、レッスンで伝える言葉の引き出しを増やすためのものです。信じることを求められる学びではありません。
考え方を知っておくと、ポーズの声かけにも自然と深みが出てきます。
この記事では、ヨガ哲学の基本の考え方を、日常での実践とレッスンでの伝え方まで早見表で紹介します。
ヨガ哲学とは?
ヨガ哲学は、ヨガがもともと持っている「心と体をどう整えて生きるか」という考え方のことです。ポーズは、その考え方の中の一部として位置づけられています。
『ヨガって、ポーズをとる運動のことじゃないの?』と思う方も多いはずです。
実は、ヨガには古くから伝わる教えがあり、ポーズ(アーサナ)や呼吸法は、その中の一部なんです。教典として知られるものに「ヨーガ・スートラ」があり、多くの養成講座で基本として紹介されています。
| よく聞く言葉 | ざっくりした意味 |
|---|---|
| アーサナ | ヨガのポーズ |
| プラーナーヤーマ | 呼吸を整える練習 |
| 瞑想 | 一つのことに意識を向け、心を静める練習 |
| 八支則(はっしそく) | ヨガの練習を8つの段階で表した考え方 |
ヨガインストラクターの仕事全体はヨガインストラクターとは?で紹介しています。
宗教とはどう違う?
ヨガはインドで生まれ、さまざまな思想の影響を受けてきました。そのため、宗教の言葉と重なって聞こえる部分もあります。
ただ、インストラクターが学ぶのは「こういう考え方がある」という知識と、日常に置き換えた実践のヒントです。特定の信仰を持つことや、参加者に勧めることは求められていません。
- 考え方は「こういう教えがあります」と紹介にとどめる
- 参加者の信仰や価値観には立ち入らない
- 「これで運が開ける」など、霊的な効果はうたわない
- 祈りや唱える言葉を入れる時は、参加しなくてもいいと添える
この線引きを決めておくと、参加者はもちろん、教える側も安心して哲学にふれられます。
インストラクターがヨガ哲学を学ぶ理由
ヨガ哲学を知っていると、ポーズの説明に「なぜそうするのか」という意味を添えられます。また、自分自身が教え続ける時の支えにもなります。
『哲学なんて、レッスンで使う場面があるの?』と感じますよね。
例えば、無理をして深くポーズに入ろうとする参加者に「今日の自分の体を大切にしましょう」と声をかける。この一言の背景には、ヨガ哲学の「傷つけない」という考え方があるんです。
- 競い合わずに、自分のペースで動いてもらいたい時
- レッスンの始まりに、その日のテーマを伝えたい時
- 休息のポーズや瞑想の前に、気持ちを切り替えてもらいたい時
- 自分がうまく教えられず、落ち込んだ時の考え方の支えとして
教える側の支えにもなる
ヨガ哲学は、参加者に伝えるためだけのものではありません。教える側が自分を立て直す時にも役立ちます。
例えば、レッスンがうまくいかなかった日。『今日のクラスは失敗だった…』と落ち込むこともありますよね。
そんな時に「今あるものに満足する」という考え方を思い出すと、できなかったことより、できたことに目を向けやすくなります。次のレッスンで直したいことを1つだけメモして、あとは手放す。こうした切り替えにも、哲学の考え方は使えるんです。
養成講座の中でも、哲学は解剖学や指導法と並んで学ぶ分野の1つです。例えば、OMYOGAのRYT200オンラインでは、哲学・解剖学を動画で学ぶ講座があると案内されています。RYT200についてはRYT200とは?で詳しく紹介しています。
ヨガ哲学の基本用語早見表
ここでは、八支則の最初の2つ「ヤマ(人との関わりで心がけること)」と「ニヤマ(自分自身について心がけること)」から、よく取り上げられる考え方を選びました。考え方・日常での実践・レッスンでの伝え方の3つで並べています。
ここが、この記事でいちばん大事なところです。
『言葉の意味は分かっても、どう伝えればいいか分からない』という声はよく聞きます。考え方だけでなく、日常とレッスンに置き換えるとぐっと使いやすくなりますよ。

| 用語 | 考え方 | 日常での実践 | レッスンでの伝え方の例 |
|---|---|---|---|
| アヒンサー | 自分も相手も傷つけない | 疲れている日は無理をしない | 「痛みを感じる手前で止めましょう」 |
| サティヤ | 正直である | 自分の気持ちをごまかさない | 「今日の体の声を正直に聞いてみます」 |
| アパリグラハ | 必要以上に欲しがらない | 持ち物や予定を詰め込みすぎない | 「もっと深く、と思ったら一度呼吸に戻ります」 |
| サントーシャ | 今あるものに満足する | できたことに目を向ける | 「今日できた範囲で十分です」 |
| タパス | 続けるための鍛錬 | 小さな習慣を続ける | 「最後の3呼吸だけ、ポーズを保ってみましょう」 |
| スワディアーヤ | 自分を学ぶ | 日記などで自分をふり返る | 「左右の違いを感じてみてください」 |
1週間に1つずつ試してみる
早見表の考え方は、一度に全部を実践しなくて大丈夫です。むしろ、1つずつ日常で試す方が、自分の言葉で語れるようになります。
| 試す考え方 | 1週間の過ごし方の例 | ふり返りの問い |
|---|---|---|
| アヒンサー | 練習中、痛みの手前で止めることを意識する | 無理をしそうになった場面はあったか |
| サティヤ | 疲れている日は、疲れていると認める | 体の声をごまかした場面はあったか |
| サントーシャ | 寝る前に、できたことを3つ書き出す | 足りないことばかり見ていなかったか |
| タパス | 毎朝5分だけ、同じ練習を続ける | 続けられた日、続かなかった日の違いは |
1週間試したら、その体験をそのままレッスンのテーマにできます。「今週はこんなことを意識していました」と話せると、借りてきた言葉ではなく、自分の言葉として伝わりますよ。
八支則の全体像
八支則は、ヤマとニヤマから始まり、ポーズ、呼吸、感覚の扱い方、集中、瞑想へと段階的に進む考え方です。
『ポーズがヨガの中心だと思っていた』という方には、少し意外に感じるかもしれません。
ポーズは8つのうちの1つ。この全体像を知っておくと、レッスンの中で呼吸や瞑想の時間を大切にする理由を、自分の言葉で説明しやすくなります。瞑想の教え方は瞑想・呼吸法を教えられるヨガインストラクターになるにはで紹介しています。
レッスンで哲学を伝える時のコツ
哲学は、言葉で説明するより「体験の中にそっと添える」方が伝わります。難しい用語は使わなくても大丈夫です。
『哲学の話をすると、押しつけがましくならないか心配…』という方もいますよね。その感覚は、とても大切です。
- その日のテーマを1つだけ決める(例: 傷つけない)
- 始まりに、ひと言だけテーマを伝える
- ポーズの中で、テーマに合う声かけを1〜2回入れる
- 休息のポーズの前に、もう一度だけテーマにふれる
- 用語の説明は、聞かれた時や希望する人向けの時間に回す

テーマ別の声かけ例
始まり・途中・終わりで、同じテーマをどう言葉にするかを並べてみました。
| テーマ | 始まり | ポーズの途中 | 休息の前 |
|---|---|---|---|
| 傷つけない | 「今日は、がんばりすぎないことを大切にします」 | 「痛みの手前で止めましょう」 | 「今日の自分の体に、ありがとうを伝えます」 |
| 今に満足する | 「今日できる範囲で動いてみましょう」 | 「左右で違っても大丈夫です」 | 「できたことを1つ思い浮かべてみます」 |
| 自分を学ぶ | 「今日は体の左右差を感じてみます」 | 「右と左、どちらが伸びやすいですか?」 | 「気づいたことを、そっと覚えておきます」 |
例えば「今日は、がんばりすぎないことをテーマにしてみます」と始まりに伝えるだけでも、立派な哲学の伝え方です。声かけの組み立て方はヨガインストラクターの声かけのコツでまとめています。
始まりの話が長くなり、参加者が体を動かす前に疲れてしまうこと。哲学を伝えたい気持ちが強いほど、話が長くなりがちです。話はひと言にして、あとは体験の中で感じてもらいましょう。
ここまで自分で学ぶ方法を紹介してきましたが、哲学を人に伝える形に落とし込むのは、独学だと難しく感じることもあります。
自己流の練習だけでは、人に教えるための順番や安全面の配慮まではつかみにくいもの。全米ヨガアライアンスの認定校で、哲学を含めて体系的に学ぶ方法もあります。
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ヨガ哲学でよくある相談
よく見かけるのは「レッスン前の話が長くて疲れる」「スクールで哲学を学び始めたけれど、どう向き合えばいいか迷う」といった相談です。
Yahoo!知恵袋などに寄せられている、ヨガ哲学に関する相談をまとめました。
相談1:レッスン前の先生の話に疲れてしまう
ヨガが始まる前の先生のお話が長く、少し疲れてしまうことがある、という相談です。
参加者の中には、話を楽しみにしている人もいれば、体を動かしたくて来ている人もいます。教える側は、始まりの話はひと言にとどめ、くわしい話は希望する人に向けて別の機会に回すと、どちらの人も心地よく過ごせます。
相談2:スクールで哲学を学び始めて、どう向き合えばいいか迷う
長くヨガを続けてきて、インストラクターのスクールに入ったら哲学の授業があり、戸惑っている、という相談です。
哲学は、全部を信じたり、生活を一気に変えたりするためのものではありません。
例えば、授業でこんなふうに聞いてみるのも1つの方法です。
「この考え方は、ポーズの練習ではどんな場面に当てはまりますか?」
「無理をしそうになった時に思い出す、という使い方がありますよ」「この考え方は、自分のレッスンでどう使えるか」という目線で学ぶと、ぐっと取り組みやすくなります。
相談3:ヨガ哲学を勉強したいけれど、何から読めばいい?
ヨガの思想を学びたいので、入り口になるものを知りたい、という相談です。
まずは養成講座のテキストや、ヨーガ・スートラをやさしく解説した入門書から始めるのがおすすめです。1つの考え方を1週間、日常で意識してみるなど、体験とセットにすると身につきやすくなります。
本を読む時は、全部を理解しようとしなくて大丈夫です。気になった一文に印をつけて、その考え方をレッスンでどう言葉にするかを考えてみてください。読むたびに、自分のレッスンに合う言葉が少しずつ見つかりますよ。
よくある質問
ヨガ哲学を学ばないと、インストラクターにはなれませんか?
名乗るのに必須の資格や試験はありません。ただ、RYT200などの養成講座では、哲学を学ぶ時間が含まれていることが多いです。
参加者に、ヨガ哲学の考え方を勧めてもいいですか?
考え方を紹介するのはかまいませんが、受け取り方は参加者に委ねましょう。特定の信仰を勧めたり、霊的な効果をうたったりしないことが大切です。
哲学の話が苦手な参加者には、どうすればいいですか?
用語を使わず、「無理をしない」「呼吸に戻る」といった日常の言葉に置き換えてみてください。考え方は声かけの中に自然に入っていれば十分です。
流派によって、ヨガ哲学は違いますか?
大切にしている考え方や練習の重きの置き方は、流派によって違うことがあります。流派の違いはヨガの流派別インストラクターで紹介しています。
まとめ
- ヨガ哲学は、心と体をどう整えて生きるかというヨガの考え方の土台
- ポーズは八支則の8つのうちの1つで、呼吸や瞑想も大切にされている
- 基本の考え方は、日常での実践とレッスンでの声かけに置き換えると使いやすい
- 哲学は、ひと言のテーマとして体験の中に添えると伝わる
- 特定の信仰を勧めず、受け取り方は参加者に委ねる
ヨガ哲学は、一度に全部を理解するものではありません。気になった考え方を1つずつ、自分の毎日とレッスンで試してみてくださいね。





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