ヨガインストラクターの声かけのコツ|伝わるインストラクションの言葉選び

ヨガインストラクターの声かけ(インストラクション)のコツと言葉の選び方を解説する記事のアイキャッチ

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レッスンで声をかけたのに、参加者がきょろきょろと周りを見ている。自分では丁寧に説明したつもりなのに、なぜか伝わらない。そんな経験をした方も多いはずです。

結論から言うと、ヨガのインストラクション(声かけ)は、センスよりも「何を、どの順番で言うか」で伝わり方が大きく変わります。

ヨガインストラクターの仕事全体はヨガインストラクターとは?で紹介しています。この記事では、声かけを4つの要素に分けて、伝わりにくい言い方を伝わる言い方に直す練習のしかたをお伝えします。

目次

ヨガのインストラクション(声かけ)とは?

先に結論

インストラクションは、参加者が先生を見なくても動けるようにするための言葉の案内です。ヨガでは下を向く姿勢や目を閉じる時間も多いので、見本より言葉の方が頼りになる場面がたくさんあります。

『見本を見せれば、言葉はそこまで大事じゃないのでは?』と思う方もいるかもしれません。

実は、ヨガは先生の姿が見えない時間が長いんです。下を向く犬のポーズでは床を見ていますし、休息のポーズでは目を閉じています。

その間、参加者が頼りにできるのは先生の声だけ。だからこそ、言葉だけで動きが伝わるかどうかが、レッスンの分かりやすさを左右します。

声かけの役割どんな時に必要か
動きを伝えるポーズに入る時、ポーズから出る時
呼吸を合わせる動きと呼吸のタイミングをそろえる時
安全を守る無理をしやすい場面、ひねりや後ろに反る時
気持ちを向ける力を抜く時、休息や瞑想に入る時

声かけは、ポーズの名前を言うだけではありません。動き、呼吸、安全、気持ちの4つを、場面に合わせて言葉にする仕事なんです。

見本と声かけはどう使い分ける?

見本は「どんな形になるか」を伝えるのが得意です。声かけは「どう動けばいいか」「どこを意識すればいいか」を伝えるのが得意です。

初めての参加者が多いクラスでは、最初に見本で形を見せてから、声だけで動いてもらう流れにすると分かりやすくなります。

声かけが伝わらない時に起きていること

伝わらない原因

伝わらない声かけの多くは、「情報が多すぎる」「順番がばらばら」「あいまいな言葉」のどれかです。言葉を足すより、減らして並べ直す方がうまくいきます。

『丁寧に説明しているのに、なぜか伝わらない…』という悩みは、まじめな方ほど抱えやすいものです。

ただ、丁寧に言おうとして情報を詰め込むと、参加者は一度に覚えきれません。動きながら聞いているので、頭に入るのは一度に1つか2つと考えておくと安心です。

伝わらない声かけのサイン
  • 参加者が先生の方を何度も見上げる
  • 左右を間違える人が多い
  • 動き出すタイミングがばらばらになる
  • 息を止めて動いている人が目立つ
  • 説明の途中で動き始めてしまう人がいる

このサインが出たら、言葉の中身ではなく「量」と「順番」を見直してみてください。

よくある3つのつまずき

つまずき伝わりにくい例何が起きているか
情報が多すぎる「右足を後ろに引いて、かかとを下ろして、骨盤を正面に向けて、両手を上げて胸を開きましょう」一息で5つの動きを言っている
順番がばらばら「両手を上げます。あ、その前に右足を後ろへ」動く順と言う順がずれている
あいまいな言葉「いい感じのところまで伸ばして」どこまで動けばいいか分からない

例えば、1つ目の例は「右足を一歩後ろへ」「かかとを床へ」「吸いながら両手を上へ」と3回に分けるだけで、ずっと伝わりやすくなります。

よくある失敗

自分が知っている専門用語をそのまま使ってしまうこと。教える側には当たり前の言葉でも、初めての参加者には意味が分からず、置いていかれた気持ちになります。用語を使う時は、最初に一言だけ意味を添えておきましょう。

声かけを4つの要素に分ける練習ドリル

4つの要素

声かけは「体の部位」「動きの方向」「呼吸」「意識の向け先」の4つに分けて考えると、組み立てやすくなります。1つの指示に入れるのは、このうち2〜3つまでが目安です。

ここが、この記事でいちばん大事なところです。

『声かけの練習って、何をすればいいの?』と迷う方は、まず自分の声かけを4つの要素に分けてみてください。足りない要素、多すぎる要素がすぐに見えてきます。

ヨガの声かけを体の部位・動きの方向・呼吸・意識の向け先の4要素に分け、それぞれの言い換え例を並べた練習ドリルの図解
要素伝わりにくい例伝わる言い換え例
体の部位「そこを伸ばして」「右の脇腹を伸ばします」
動きの方向「足を動かして」「左足を一歩、前へ」
呼吸「呼吸しながら」「吸いながら両手を上へ。吐きながら下ろします」
意識の向け先「集中して」「足の裏が床に触れている感じを見てみましょう」

要素1:体の部位

部位は、参加者がすぐ分かる言葉で伝えます。「肩甲骨」のように少し専門的な言葉を使う時は、「背中の羽のような骨」と一言添えると伝わりやすくなります。

左右は「右」「左」をはっきり言いましょう。向かい合って教える時は、自分の左右と参加者の左右が逆になるので、事前に確認しておくと安心です。

要素2:動きの方向

方向は「前へ」「後ろへ」「上へ」「床の方へ」「天井の方へ」のように、行き先を言うと伝わります。

「動かして」「伸ばして」だけだと、どちらに動けばいいかが分かりません。例えば「両手を天井の方へ伸ばします」のように、方向とセットにしてみてください。

要素3:呼吸

呼吸は、動きの前に言うのがコツです。「吸いながら、両手を上へ」と言えば、参加者は吸い始めてから動けます。

逆に「両手を上げて、吸います」だと、手が上がり終わってから吸うことになり、動きと呼吸がずれやすくなります。

要素4:意識の向け先

意識の向け先は、動きが止まった後に添える言葉です。「足の裏」「呼吸の音」「お腹のふくらみ」など、感じる場所を1つだけ伝えます。

「リラックスして」「集中して」のような言葉は、何をすればいいかが分かりにくいもの。感じる場所を具体的に言う方が、結果として力が抜けやすくなります。

ドリルのやり方

1人でできる練習の手順
  1. よく教えるポーズを1つ選び、いつもの声かけを紙に書き出す
  2. 書いた文を、部位・方向・呼吸・意識の4色で色分けする
  3. 1つの指示に3つ以上の要素が入っていたら、2つに分ける
  4. 足りない要素(呼吸が無い、方向が無い等)を足す
  5. 声に出して録音し、目を閉じて聞いて動けるか確かめる

最後の「目を閉じて聞いて動けるか」がポイントです。自分の声だけを頼りに動いてみると、言葉の足りないところがはっきり分かりますよ。

伝わる声かけの順番と言葉の選び方

先に結論

声かけは「呼吸」「部位」「方向」の順で言い、最後に「意識の向け先」を添えると、動きやすい流れになります。1つの指示は短く区切り、間をとってから次へ進みます。

4つの要素が分かったら、次は並べる順番です。

『順番なんて、伝われば何でもいいのでは?』と思いますよね。ただ、参加者は聞いた順に体を動かすので、言う順番がそのまま動く順番になるんです。

基本の型

順番入れる要素例
1呼吸「吸いながら」
2部位「両手を」
3方向「天井の方へ」
4間をとる参加者が動き終わるまで待つ
5意識の向け先「指先まで伸びている感じを味わいます」

この型に当てはめると、「吸いながら、両手を天井の方へ。……指先まで伸びている感じを味わいます」という声かけになります。

ヨガの声かけを呼吸・部位・方向・間・意識の向け先の順に並べた基本の型の図解

型に当てはめた言い換えの例

よく使うポーズで、型に当てはめる前と後を並べてみました。自分の声かけと見比べてみてください。

ポーズの場面当てはめる前型に当てはめた後
立ちポーズで両手を上げる「両手を上げて、胸を開いて、吸って」「吸いながら、両手を天井の方へ。……胸のあたりが広がる感じを見てみます」
前屈する「前に倒れて、もっと深く」「吐きながら、上体を床の方へ。……膝は曲げたままで大丈夫です」
四つんばいで背中を丸める「背中を丸めて、おへそ見て」「吐きながら、背中を天井の方へ丸めます。……視線はおへその方へ」
ねじりのポーズ「ひねって、しっかり」「吸って背すじを伸ばし、吐きながら右へゆっくりねじります」

当てはめた後の方が長く見えるかもしれません。ただ、区切りごとに間があるので、参加者にとっては一度に聞く量が少なくなるんです。

言葉を選ぶ時のコツ

言葉選びのチェック
  • 「〜してください」を連続させず、「〜します」「〜へ」で区切る
  • 否定より肯定で言う(「膝を曲げないで」より「膝を伸ばしたまま」)
  • 1つの文は、ひと息で言える長さにする
  • 専門用語は、最初の1回だけ意味を添える
  • 「もっと」「しっかり」より、どこまで動くかを示す

例えば「腰を反らさないでください」は、「おへそを少し背骨の方へ引き寄せます」と言い換えると、何をすればいいかが伝わります。

否定の言葉は、してほしくない動きを頭に浮かべさせてしまうことも。してほしい動きを、そのまま言葉にしてみてください。

間のとり方

声かけの上手な方は、話していない時間の使い方も上手です。

指示を出したら、参加者が動き終わるまで待ちます。全員の動きを見てから次の指示へ進むと、遅れている人も置いていかれません。

レッスンの場面別の声かけ例

先に結論

声かけは、レッスンの場面ごとに役割が変わります。始めは安心してもらう言葉、途中は動きと安全の言葉、終わりは力を抜く言葉、と場面に合わせて使い分けます。

レッスン全体の流れの中で、どこで何を言うかを決めておくと、本番で迷いにくくなります。流れの組み立て方はヨガレッスンの組み立て方で詳しく紹介しています。

場面声かけのねらい声かけの例
受付・始まり体調を確かめ、安心してもらう「今日、体で気になるところはありますか?」
導入(呼吸)呼吸に意識を向ける「鼻から吸って、鼻から吐く呼吸を数回続けます」
ウォームアップ小さく動き始める「首をゆっくり右へ。戻して左へ」
メインのポーズ動きと安全を伝える「膝はかかとの真上に。つらい人は手を床に置いたままで大丈夫です」
クールダウン動きを小さくしていく「仰向けになって、膝を胸の方へ引き寄せます」
休息のポーズ・瞑想力を抜いてもらう「手のひらを天井へ向け、体の重さを床にあずけます」

安全を伝える声かけ

安全の声かけは、遠慮せず何度でも言ってかまいません。

例えば「痛みを感じたら、すぐにポーズから出て休みましょう」「手は床に置いたままでも大丈夫です」のように、楽な取り方や休んでいいことを言葉にして伝えます。

妊娠中の方や持病がある方には、レッスンの前にかかりつけの医師に相談してもらうよう案内します。インストラクターは医療の判断をせず、無理をしない取り方を添える、という姿勢が大切です。

参加者の様子に合わせて言葉を変える

同じポーズでも、クラスの雰囲気や参加者の様子によって、合う言葉は変わります。

参加者の様子変えるとよいところ
動きが遅れがち指示を短くし、待つ時間を長めにとる
息を止めている人が多い「吐きながら」の声かけを増やす
力が入りすぎている「肩を耳から遠ざけます」など、力を抜く言葉を添える
慣れている人が多い意識の向け先の言葉を少し増やす

例えば、肩がすくんでいる人が多い時は「肩の力を抜いて」より「肩を耳から遠ざけます」の方が、何をすればいいかが伝わりやすくなります。

初心者が多いクラスの声かけ

初心者が多いクラスでは、ポーズの名前より動きを先に言います。

「下を向く犬のポーズ」と言うだけでは、初めての人には形が浮かびません。「両手と両足を床について、お尻を天井の方へ持ち上げます。これが下を向く犬のポーズです」のように、動きを言ってから名前を添えてみてください。

声かけを上達させる練習方法

先に結論

声かけは、録音して聞く、人に受けてもらう、ほかの先生のクラスを受ける、の3つで上達します。自分の声を客観的に聞く機会を、意識して作ることが近道です。

『練習相手がいないから、上達しようがない…』と感じる方もいますよね。実は、1人でもできる練習はたくさんあります。

練習方法やり方分かること
録音して聞くスマホで声かけを録音し、目を閉じて聞く言葉の量、話す速さ、間の長さ
録音に合わせて動く録音を流しながら、自分で動いてみる呼吸と動きのずれ、言葉が足りない所
家族や友人に受けてもらう見本を見せず、声だけで動いてもらう伝わらない言葉、左右の分かりにくさ
ほかの先生のクラスを受ける伝わった言葉、迷った言葉をメモする自分のクラスで使える言い回し

週ごとの練習の目安

毎日長い時間をとらなくても大丈夫です。例えば、平日は1日10分ほど1つのポーズの声かけを録音し、週末に1回だけ人に受けてもらう、という形でも続けやすくなります。

1週間の練習の例
  1. 週のはじめに、練習するポーズを2〜3個決める
  2. 平日は録音して聞き、言葉を短くしていく
  3. 週末に家族や友人に声だけで動いてもらう
  4. 伝わらなかった言葉をメモして、翌週の練習に回す

ほかの先生のクラスを受ける時の見方

ほかのクラスを受ける時は、「この言葉で、すっと動けた」と感じた場面をメモしておきましょう。

ただし、言い回しをそのまま真似するより、「なぜ伝わったのか」を4つの要素で分けてみるのがおすすめです。自分の言葉に置き換えやすくなりますよ。

オーディションの模擬レッスンでも、声かけはよく見られるポイントです。準備のしかたはヨガインストラクターのオーディション対策でまとめています。

体系的に学ぶという方法も

ここまで1人でできる練習を紹介してきましたが、独学だけで声かけを磨くのは、思ったより時間がかかることもあります。

自己流の練習だけでは、人に教えるための順番や安全面の配慮まではつかみにくいもの。全米ヨガアライアンスの認定校で、ティーチングやアジャストを含めて体系的に学ぶ方法もあります。

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声かけについてよくある相談

先に結論

よく聞かれるのは、「先生の言葉の意味が分からない」「始まる前の話が長く感じる」といった、受ける側の戸惑いです。教える側にとっては、言葉を選ぶヒントになります。

Yahoo!知恵袋などには、ヨガのクラスを受ける側からの相談がよく寄せられています。教える側の目線で、どう受け止めればいいかをまとめました。

相談1:先生が言っている言葉の意味が分からない

ヨガの教室で、先生がよく分からない言葉を口にするので意味を知りたい、という相談です。

ポーズの名前や呼吸法の名前を、元の言葉のまま言われると、初めての人には呪文のように聞こえることがあります。教える側は、元の名前を使う時に一言だけ日本語の意味を添えるだけで、戸惑いをぐっと減らせます。

例えば「シャバーサナ、休息のポーズに入ります」のように、名前と意味をセットで言うのがおすすめです。

相談2:レッスン前の先生のお話に疲れてしまう

レッスンが始まる前の先生の話が長くて、少し疲れてしまうことはないか、という相談です。

始まりの話は、その日のテーマを伝える大切な時間です。ただ、参加者は体を動かしに来ているので、長くなると気持ちが離れてしまうことも。

始まりの話を短くするコツ

始まりの話は、テーマを1つに絞り、ひと言で言える長さにしておきましょう。くわしい話は、休息のポーズの前などに少しずつ散らすと、聞いてもらいやすくなります。

相談3:初心者向けのクラスなのに、ついていけなかった

初心者向けと書いてあるクラスに出たのに、思ったより難しかった、という声も見かけます。

こうした時は、ポーズの難しさだけでなく、声かけの速さが原因のこともあります。初心者向けのクラスでは、動きを細かく区切り、楽な取り方を毎回添えるだけで、ついていきやすさが変わります。

よくある質問

ヨガの声かけは、台本を作って覚えた方がいいですか?

慣れるまでは、ポーズごとに声かけを書き出しておくと安心です。ただ、丸暗記より4つの要素の型を覚えておく方が、参加者の様子に合わせて言葉を変えやすくなります。

声が小さいと言われます。どうすればいいですか?

声の大きさより、ゆっくり区切って話すことを意識してみてください。後ろの人に届いているか、始めに一言たずねておくのもおすすめです。

ポーズの名前は、元の言葉と日本語のどちらで言えばいいですか?

クラスの参加者に合わせて選びます。初めての人が多い時は日本語を中心にし、元の名前を使う時は意味を一言添えると伝わりやすくなります。

声かけと見本は、どちらを優先すればいいですか?

下を向く姿勢や目を閉じる時間が多いので、声だけで動けることを目指すのがおすすめです。見本は、初めて行うポーズの形を見せる時に使うと効果的です。

まとめ

この記事の要点
  • ヨガは先生が見えない時間が長いので、声だけで動ける声かけが大切
  • 伝わらない原因は、情報が多い・順番がばらばら・あいまいな言葉のどれか
  • 声かけは「体の部位・動きの方向・呼吸・意識の向け先」の4要素で組み立てる
  • 呼吸を先に言い、部位と方向を続け、間をとってから意識の向け先を添える
  • 録音して聞く、声だけで動いてもらう練習で上達できる

声かけに正解は1つではありません。参加者の表情や動きを見ながら、少しずつ自分の言葉を育てていってくださいね。

ヨガインストラクタードットコム

ヨガインストラクタードットコム 編集部

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